刑事精神鑑定入門 刑事精神鑑定に携わるひとのための副読本

刑事精神鑑定入門 刑事精神鑑定に携わるひとのための副読本

刑事精神鑑定入門表紙緑カバートップ用

著者・編者:袖長光知穂

判型・価格・発行年: A5判 250頁 4000円(本体価格) 2022年3月31日

内容紹介:

 

本書は,はじめて刑事精神鑑定に携わろうとする精神科医がその最初の第一歩を踏み出すのに必要な基礎的・実践的な知識経験を解説したものですが,同時に,精神鑑定の実際に興味のある法律家や警察官,学生の皆様にも分かりやすくお読みいただけるように工夫してあります。内容は第1編から第3編までの3部構成となっています。

第1部は,鑑定経験のない精神科医が,精神鑑定をする上で必要な刑事手続に関する基礎知識の習得を目的に解説しました。実際の刑事事件を念頭に,捜査から公判までの手続きの流れを,解説しました。その際,基礎的な法律知識を根拠条文もあげて説明しています。

第2部は,精神科医が実際に精神鑑定をすることができるように,また,法律家や警察官らが精神鑑定の実際を理解して今後の捜査や公判に役立てることができるように,精神鑑定に関する基礎的・実践的な知識について,筆者の体験を交えて解説しました。

第3部は,鑑定人が法廷で鑑定の経過と結果を証言(プレゼンテーション)する際に用いるパワーポイントなどの資料を鑑定書の見本とともに収録しました。なお,本書は,皆様がその用途・目的に応じて効率的にご利用いただけますように,解説内容が多少重複しますが,各部をそれぞれ独立した構成としました。例えば法律家は第2 部から読むなど,その用途・目的に応じてご利用ください。

(本書「はじめに」より抜粋)

 

 


目次:

                               
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ⅰ


          第1 編 精神鑑定の基礎知識
          第1章 刑事事件と精神鑑定

第1 刑事事件において精神鑑定が必要な理由
 1.処罰の本質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
 2.責任能力の定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
 3.精神の障害 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
  (1)精神の障害とは・・・6
  (2)操作的診断基準・・・8
  (3)精神障害の例・・・11
   ① 統合失調症
   ② うつ病
   ③ 知的障害
   ④ 覚醒剤精神病
   ⑤ パーソナリティ障害
   ⑥ 広汎性発達障害
 4.精神科医による刑事精神鑑定 ・・・・・・・・・・・・・・・ 15
  (1)精神科医による刑事精神鑑定が必要な理由・・・15
  (2)鑑定とは・・・16
  (3)刑事精神鑑定の種類・・・17
  (4)刑事手続における精神鑑定の位置付けを理解しておく必要性・・・17

第2 刑事事件の捜査と精神鑑定
 1.刑事事件の捜査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・  19
  (1)警察官による逮捕・・・19
  (2)逮捕後の警察官の手続-弁解録取,検察官送致・・・21
  (3)送致を受けた検察官の手続-弁解録取,勾留請求,勾留・・・22
  (4)検察官による事件の処分-起訴・不起訴・・・25
 2.起訴前鑑定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・  26
  (1)鑑定嘱託する目的・・・26
  (2)事件送致から鑑定嘱託までの流れ・・・26
  (3)精神鑑定の要否の判断・・・27
  (4)起訴前鑑定-簡易鑑定と本鑑定・・・34
   ① 簡易鑑定
   ② 本鑑定
  (5)鑑定資料・・・38
  (6)鑑定作業・・・42

第3 刑事事件の公判と精神鑑定
 1.刑事事件の公判 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・ 43
  (1)公判に向けた準備・・・43
  (2)公判前整理手続・・・46
  (3)公判・・・48
   ① 冒頭手続
   ② 証拠調手続
   ③ 弁論手続
   ④ 判決
 2.起訴後鑑定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   51
  (1)起訴後鑑定の要否・・・51
   ① 起訴前鑑定が実施されていない場合
   ② 起訴前鑑定が実施されている場合
  (2)起訴後鑑定の手続・・・54
  (3)鑑定作業・・・56

第4 鑑定人の尋問-法廷における鑑定結果の顕出
 1.鑑定書の証拠請求 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・  57
 2.カンファレンス  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・  57
 3.鑑定人尋問 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・  58

第5 医療観察法,精神保健福祉法
 1.医療観察法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・  59
  (1)検察官による医療観察法の申立て・・・59
  (2)裁判所による鑑定入院命令,鑑定・・・59
  (3)裁判所の審判・・・60
   ① 申立ての却下等
   ② 医療の要否及び入院又は通院等の処遇の決定
  (4)医療観察法の申立てを却下されるなどした場合の検察官の対応・・61  
  (5)治療可能性の問題・・・61
 2.精神保健福祉法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・  63
  (1)検察官による24 条通報・・・63
  (2)都道府県知事等による措置・・・64 


          第2 章 責任能力判断と精神鑑定

第1 責任能力の意義

第2 責任能力の判断方法について

 1.最高裁判所判例(最高裁判例)が示す責任能力判断の考え方・・ ・・ 65
  (1)最高裁第3 小法廷昭和58 年9 月13 日決定・・・65
  (2)最高裁第3 小法廷昭和59 年7 月3 日決定・・・66
  (3)最高裁第2 小法廷平成20 年4 月25 日判決・・・69
  (4)最高裁第1 小法廷平成21 年12 月8 日決定・・・71
 2.責任能力判断のための鑑定事項について ・・・・・・・・・ 74
  (1)検察官と裁判所の鑑定事項の違い・・・74
  (2)鑑定事項に違いが生じる理由・・・74

第3 不可知論・可知論について
 1.不可知論・可知論 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・  77
 2.二重見当識問題  ・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・ ・・・ 80  
( 1)問題の所在・・・80
  (2)東京高裁平成21 年5 月25 日判決・・・82

第4 精神科医と法律家の役割分担 ― 8 ステップ ―
 1.8 ステップとは  ・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・ ・・・ 85
 2.8 ステップの評価  ・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・・・ 86
  (1)精神科医と法律家の役割分担の明確化・・・86
  (2)総合的判断手法の再確認・・・86
  (3)不可知論的思考の排除・・・87

第5 7 つの着眼点について
 1.「7 つの着眼点」とは  ・・・・・・・・・・・・ ・ ・ ・・・・ 88
 2.「7 つの着眼点」の評価 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・ ・   90


            第2 編 実践
        第1 章 鑑定の受託(受命)に伴う事務等

第1 鑑定嘱託(鑑定命令)までの流れとこれに伴う事務
 1.検察官(裁判所)による鑑定嘱託(鑑定命令)の打診 ・・・  95
 2.鑑定の受託又は受命 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・  96
  (1)検察官による鑑定嘱託の受託・・・96
  (2)裁判所による鑑定命令の受命・・・97
 3.対象者の留置場所や押送に関する留意事項  ・・・・・・・・ 97

第2 身体検査のできる医療機関の確保と身体検査
 1.身体検査のできる医療機関の確保 ・・・・・・・・・・・・ 99
 2.身体検査の流れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 100
3.身体検査に当たっての留意事項 ・・・・・・・・・・・・・ 100  
  (1) 対象者の逃走防止・・・100
  (2)一般患者や病院職員に対する暴力事案等の発生防止・・・101
  (3)対象者や一般患者への配慮・・・101
 ( 4)採血に当たっての注意事項・・・102
 4.身体検査の費用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 102

第3 病院における鑑定留置
 1.病院に鑑定留置をする場合の障害 ・・・・・・・・・・・・ 103
 (1)病院職員等の理解の問題・・・103
  ( 2)逃走防止のための物的施設,人的体制の問題・・・103
 2.病院に鑑定留置した例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104
  (1)病院職員に対する鑑定留置の説明等・・・104
  (2)鑑定留置における注意点・・・106


        第2 章 鑑定資料

第1 一件資料
 1.鑑定の種類と一件資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 108
  (1)鑑定の種類・・・108
  (2)起訴前鑑定・・・109
  (3)起訴後鑑定・・・111
  (4)一件資料に関する留意点・・・112
  (5)起訴前鑑定における弁護人による鑑定資料の提供と面会要求・・113
 2.一件資料の種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・ 115
  (1)供述調書・・・115
  (2)録音録画DVD・・・116
  (3)上申書・・・117
  (4)診療録・・・118
  (5)捜査事項照会回答書・・・118
  (6)医師の紹介状・・・119
  (7)成績証明書・・・119
  (8)動静記録・・・119
 3.一件資料の熟読精査-付せんやマーカーの利用 ・・・・・・ 119

第2 心理検査
 1.心理検査の意義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 122
 2.心理検査の種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 122
  (1)MMPI(性格検査)・・・122
  (2)SCT 文章完成テスト(性格検査)・・・122
  (3)PF スタディ(性格検査)・・・122
  (4)描画テスト(性格検査)・・・123
  (5)ロールシャッハテスト(性格検査)・・・123  
  (6)WAIS- Ⅲ(ウェクスラー式知能検査)・・・123
  (7)田中・ビネー式知能検査・・・123
  (8)コース立方体組み合わせテスト(知能検査)・・・124
  (9)MMSE(ミニメンタルステート検査,認知機能検査)・・・124
  (10)HDS-R(長谷川式認知症スケール,認知機能検査)・・・124
  (11) FAB(前頭葉機能検査, 認知機能検査)・・・124
 3.心理検査の手続 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 124

第3 身体検査
 1.身体検査の意義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 126
 2.身体検査の種類等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 126
  (1)身体検査の種類・・・126
   ① 血液検査
   ② 尿検査
   ③ 頭部CT または頭部MRI 検査
   ④ 脳波検査
   ⑤ 頭部SPECT 検査
   ⑥ 頭部PET-CT 検査 
 (2)頭部画像検査について・・・127
 3.身体検査の手続 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 129

第4 対象者の面接(問診)
 1.鑑定における面接の意義 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 130
 2.面接の流れと着目ポイント ・・・・・・・・・・・・・・・ 131
  (1)本鑑定・・・131
   ① 初回面接
   ② 2 回目以降の面接
   ③ 最終面接
  (2) 簡易鑑定・・・137
 3.鑑定中における対象者の変化 ・・・・・・・・・・・・・・ 138
  (1)経時変化・・・138
  (2)生活環境の変化・・・139
  (3)精神状態の変化・・・140
   ① 精神状態が改善する場合
   ② 精神状態が変わらない場合
   ③ 精神状態が増悪する場合
 4.面接の手続 ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ 143  
( 1)検察庁における面接・・・143 
  (2)拘置所における面接・・・144
  (3)警察署における面接・・・145
  (4)医療機関における面接・・・146
 5.家族等の面接 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ 146
  (1)家族等面接の意義・・・146
( 2)家族等面接の方法・・・147
( 3)家族等面接の注意点・・・148


          第3 章 鑑定書の作成

第1 鑑定書の作成
 1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・ 150
 2.鑑定書の書式 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ 152
 (1)本鑑定・・・152
 (2)筆者の鑑定書書式・・・155
 (3)簡易鑑定・・・157
 3.鑑定書の記載順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 157 
 4.別紙6「問診の経過」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ 159
 5.別紙3「生活歴・病歴」 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 162
 6.別紙2「診断とその根拠」  ・・・・・・・・・・・・・・・  165
 7.別紙7「診断基準」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・ 172
 8.別紙5「身体検査・心理検査結果」 ・・・・・・・・・・・・ 175
 9.別紙4「犯行前後の様子」 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 176
 10.本文「精神障害の犯行への影響」 ・・・・・・・・・・・・・ 180
 11.本文「善悪の判断能力・それに従って行動する能力」 ・・・ 185   
  (1)鑑定人による責任能力判断・・・185
  (2)総合的判断手法・・・186
  (3)7 つの着眼点・・・187
   a 動機の了解可能性/ 不能性 ・・・・・・・・・・・・・・ 188      
   b 犯行の計画性/ 突発性/ 偶発性/ 衝動性 ・・・・・・・・ 193     
c 行為の意味・性質,反道徳性,違法性の認識 ・・・・・・ 198   
d 精神障害による免責可能性の認識 ・・・・・・・ ・・・・ 201
e 元来ないし平素の人格に対する犯行の異質性・親和性・・・ 203   
   f 犯行の一貫性・合目的性/ 非一貫性・非合目的性 ・・・・ 206
g 犯行後の自己防御・危険回避的行動 ・・・・・・・・ ・・ 209
( 4)その他の考慮要素~生活史,家族・友人・職場の人間関係,
   犯行時の記憶等・・・211
  (5)総合評価~健常部分にも光を当てて・・・212


          第4 章 鑑定人尋問

第1 鑑定書提出後の手続の流れ
 1.起訴前鑑定の場合 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・ 215
 2.起訴後鑑定の場合 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・ 216

第2 カンファレンス ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・ 218

第3 鑑定人尋問の準備
 1.プレゼンテーションの準備 ・・・・・・ ・・・・・・・・ ・ 220
 2.プレゼン資料作成の留意点 ・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ 220
 3.証人テスト ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ 222

第4 鑑定人尋問
 1.裁判所出頭に伴う事務手続 ・・・・・・ ・・・・・・・・ ・ 224
 2.鑑定人尋問  ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ 225
  (1) 宣誓,略歴紹介・・・225
  (2) 鑑定人による説明(プレゼンテーション)・・・225
  (3) 主尋問・・・225
  (4) 反対尋問・・・226
  (5) 再主尋問・・・227
  (6) 裁判官及び裁判員による尋問・・・227


          第5 章 鑑定人への道

第1 鑑定人になる方法
 1.鑑定人への門は広く開かれている  ・・・・ ・・・・・・・・ 228
 2.鑑定人の資格  ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・  228       
  (1) 精神保健指定医・・・229
  (2) 精神保健判定医・・・229
  (3) 日本精神神経学会専門医・・・229
  (4) 日本司法精神医学会認定精神鑑定医・・・230
 3.鑑定人として必要な知識・経験を習得する方法 ・・・・・・ 230

第2 鑑定人の心構え ・・・・ ・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 232

第3 鑑定人のやりがい ・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・・・・ 233


            第3 編 資料

精神鑑定書(見本) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 238
鑑定人尋問用プレゼン資料(見本) ・・・・・・・・・・・・・・ 243
著者略歴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・ 249